経営者視点で考える「ゲーセンが閉店を選ぶ時」

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ファンタジスタ店長です。

ゲームセンターの閉店は後を絶ちません。特に消費増税されてからのペースは異常です。

なぜゲームセンターが閉店を選ばなくてはいけないのか、地方で個人ゲーセンを経営している僕の個人的な視点から書いてみようと思います。

ゲーセンの収支

ゲームセンターの収入と支出を大雑把に書くと

収入 ゲーム機械の売り上げ

支出 家賃・人件費・光熱費・機械の購入費

と言う形になります。

メーカー課金の支出もありますが、基本的には売り上げから差し引かれるため、売り上げがないのに支出だけ発生することはないので、ここでは省きます。

収入>支出、である限りは黒字なので、閉店を考えなくても良いと思うかも知れませんが、実際には黒字でありながら閉店を選ぶ店舗も少なくありません。

これから書く内容でゲーセン経営者の苦悩の一端でもお伝えできればと思います。

新作購入は博打!

基本的にはどの店も購入する機械をメーカーの発表やショーなどから情報を得て決断します。このタイトルは必ずヒットする、この機械は長く稼いでくれそうだ、この機械はうちには合わないな、など、購入機械を考えるのはゲームセンター経営において非常に重要なウェイトを占めています。

この業界では当たり前なんですが、ゲームの受注締め切りは発売の数ヶ月~半年前くらいにやってきます。つまり、ゲームがまだ完成してないのに買うかどうかを決めなくてはいけないわけです。完成品を触れないと言う事は、ゲームの出来を判断できないわけで、購入する機械を選ぶのはかなりの博打要素が含まれています。

しかも受注生産なので、ここで発注しなければもう新品を買うチャンスはありません。

ヒットしたゲームを後から中古で購入しようとすると中古相場が販売価格の数倍に跳ね上がっている場合もあり、とても手が出せる金額ではなくなってしまいます。となれば結局最初の受注のタイミングで勝負するしかありません。

ゲーセン経営者は購入の決断をする時、絶対に負けられない博打に打って出なければいけないのです。

必ず博打に勝てる時代があった?

こんな仕組みでもまったく問題なかった時代がありました。ストⅡが出た頃の格ゲーバブルとも言える時代です。

ゲーム基板は基本後払いなので、購入してから支払い日までの間にお金を用意すればいいわけです。そのお金は購入した基板が稼ぎ出してくれる。つまり手持ち資金が0でも新しい基板を買うことが出来た時代があったわけです。極論すれば、店舗さえあれば手持ち資金がなくてもゲーセンを作れたのかも知れません。

この頃はこの仕組みにも文句を言う人はいなかったんではないかなと思ったりもします。

これが成り立たなくなる時代を見越していたのかどうかはわかりませんが、コナミの機械に関しては前払いとなってます。KOF13が普及しなかったのは、販売がコナミだったからと言う噂も的外れではないかも?

欲しい機械が入れられない!

新作の中には「これは間違いなくヒットする!」と思われるタイトルもあります。そういう機械は生産台数が決まっている場合が多く、メーカーとの取引額が多い大手に優先的に配分され中小店舗には回ってこないと言う事もあります。

メーカー側としては購入したお店の利益を確保する必要があるため出荷台数を調整していると言う大義名分もあるのですが、資金もあって発注しているのに入荷できないのは、楽しみにしてくれているお客様に対して申し訳ないの一言です。

運良く入荷できても、発売日から1ヶ月遅れであったり2ヶ月遅れであったり。ただでさえ博打要素の強い機械購入なのに、これでは小さなゲーセンの経営者はたまったものではありません。

ゲーセン経営者は新作が発売されるたびに、これらの苦悩と戦わなくてはならないのです。

新作発売時のゲーセンは必ずリスクを背負う

新作ゲームは買うのにも買わないのにもリスクがあります。

新作タイトルを発注していざ発売されたものの、ゲームの出来が今ひとつで売り上げに貢献せず購入代金がまるまる赤字になってしまう。これはとてもわかりやすい買うリスクの話。これを避けるためにはうかつな機械に手を出さなければ良いと思うでしょうが、そうもいきません。

買わない時のリスクはゲーセン経営者にはかなり頭が痛くなる問題です。「そこそこ面白いと思うけど、元は取れないかも知れない」というゲームがあったとします。元が取れないなら入れなければ良いと思うかも知れませんが、事はそう単純ではないのです。

そのタイトルを買わなかったために、他のゲーセンに人が流れてしまい、それまで稼動していた他のタイトルからも人がいなくなってしまうという事があります。これが代表的な買わないリスクです。それを防ぐためには元が取れないとわかっていてもその機械を買わざるを得なくなるのです。

中小店舗が乱立していた昔とは違い、近隣に新作なら何でも入荷しているような大型店舗がある場合は、常にこれを考えなくてはいけません。

新作が出ない方が良い?

対戦格闘ゲームをメインにしているビデオゲーセンなどは、格ゲーに関しては特にラインナップに気を使わなくてはいけません。特にメジャーなタイトルであれば買わざるをえないでしょう。基板が大型筐体並みに高額化している昨今、これは非常に苦しいものです。

音ゲーでもそうですね。音ゲーの品揃えに自信があるお店であれば、新作音ゲーは何としても揃えたいところでしょう。

新しく機械を買わなければ赤字にならないと言うレベルで黒字経営しているお店はたくさんあると思います。しかし、買わないリスクを考えた時に買わない決断をするのは簡単ではありません。何度も何度もこのストレスを繰り返していくうちに、閉店を考えるようになってしまうかも知れません。

昔は新しいゲームが出るたび経営者は喜んでたのかも知れませんが、うちの店レベルだと「もう何も出ないでくれー」って思うのが本音なんです。

タイトル配信のジレンマ

ネシカクロスライブやオールネットプラスマルチに代表される、ゲームタイトルが配信される基板が普及しています。買う買わないのリスクを考えなくて良いので、うちのような小さいお店にとっては嬉しいシステムです。しかし、このシステムの悪い部分もいくつかあります。代表的なのは2つでしょうか。

1つ目は、お店によってタイトルの特色が出せなくなってしまった事。どのお店に行っても同じゲームが遊べてしまうため、筐体の台数や立地が重視されるようになり、売り上げが落ちてしまったお店もあるでしょう。基板購入費用がかからず小さいゲーセンを救ってくれる反面、立地の良い大型店舗にプレイヤーが集中してしまうと言う状況も産んでしまいました。

2つ目は、プレイヤーによる筐体の奪い合いが発生してしまったこと。「お店に行っても遊べないかも知れない」と言うプレイヤーの悩みを解消するためには、少ない台数では対応出来ません。

今後は配信タイトルがさらに増えていくでしょうから、小さいお店にとっては悩ましい問題です。やはり大型店舗が有利になってしまいます。

この問題について上手く対応しているお店といえば大阪にあるコーハツさんでしょう。その運営方法は非常に参考になります。

運営努力のリターンが小さくなった

配信タイトルには課金がかかります。これについては僕は一定の評価をしてます。

今まではどんなに出来の悪いゲームを作っても売りっぱなしで補償がないのが当たり前でしたが、基板代が無料でプレイ課金が発生すると言うことは、メーカー側もプレイしてもらわなければ利益にならないので、常に面白いゲームを提供し続けなければなりません。ゲーセンとメーカーがようやくリスクとリターンを共有することが出来るようになったと言えます。

従量課金で売り上げが小さいお店はメーカーに支払う額も少ないため、小さい店舗ほどランニングコストを抑える事が出来るようにもなってます。従量課金になる前の音ゲーや麻雀のバージョンアップキットは1年の利益を吹っ飛ばすほどの出費でした。(でも買わないリスクのが大きいから買うしかなかった)

その反面、やはり課金というシステムは店舗側に重くのしかかってきます。課金がなかった頃は、店舗の運営努力で上げた売り上げは100%店舗に入っていましたが、現状では課金がかかるため、店舗がどれだけ努力しても一定のパーセンテージは常にメーカー側の取り分になってしまいます。

労力は同じなのに利益が少なくなってしまうので、イベント運営等に対するモチベーションの維持が難しくなっています。

その上で固定費である家賃や光熱費、人件費分は稼がなくてはならず、小さいリターンで以前よりも売り上げを増やさなければならないと言う苦しい状況になるわけです。

ダンピング競争の恐怖

ダンピングとは市場において公正な競争を妨げるような不当に低い価格で販売すると言う意味ですが、ゲーセンの値下げ合戦にもこの言葉が使われます。

最近は複合型の大型店舗に入ったゲームセンターもたくさんあります。近くに大型店舗が出店してくるだけなら、集客にとってプラスになることもありますが、ダンピング競争に持ち込まれた場合はそうはいきません。

課金があるためダンピングしづらくなってます、とメーカーは言いますが、それでもダンピングするお店はあります。自店舗の利益を削ってプレイヤーに喜んでもらえるわけですから、企業努力とも言えますが、中には「儲けなくても良い」というレベルでダンピングをして集客している店舗もあります。

ダンピング競争で他店舗を潰して、客を独占すると言う手法です。この強引な手法は、シンプルゆえに強力です。

ダンピングはゲームの価値を下げているのですから、長い目で見ればゲーセン側にとっても良くないはずなんですけれど・・・。それがプレイヤーにとっては嬉しい事でもあるから、一方的に責めるわけにもいかないのが難しいところです。

ダンピング競争についていくことによって利益を損うか、ついていかずにプレイヤーを失うかの2択はゲーセン経営者にとって恐怖の一言です。

本当はゲーセン同士が協力していかないといけない時代なんですが、どのお店にもそんな余裕がないのですよね・・・。

ジャンルの多様化による店舗の大型化

格ゲー全盛期のゲーセンといえば、店内の端から端までビデオ筐体がズラリと並び、どのゲームも対戦待ちで人が溢れていました。

当時からドライブゲームやガンシューなどの大型筐体もありましたが、売り上げのメインであるビデオ筐体はそれほど場所を取らないため、小さめのお店でもゲームセンターとしてやっていくことが可能でした。

今はどうでしょう。音ゲー、カードゲーム、ネットワークゲーム、そしてメダルゲームやプライズゲーム。もはやゲームセンターといえば、これらの大型機械がどーんと構えてるのが当たり前。大きなゲーセンに入ったら、このゲーセン何億円かかってるぞ!とか計算してしまうのは職業病です。

ゲーマー以外の一般客にとってゲームセンターとは、こういった大型店舗のことを指すのでしょう。そういったお客さんは小さいお店に一歩足を踏み入れて周囲を見回した途端に帰ってしまいます。うちもそういうこと良くあります、わざわざ足を運んでくれたのに申し訳ないと思います。

味で勝負出来ないレストラン

ビデオゲームだけで集客するのは非常に厳しい時代です。小さなビデオゲーセンは例えるならカレーしか出せないファミレスのようなものかも知れません。

同じような味のカレーがあるなら、ステーキやハンバーグ、デザートやサラダもおいてあるお店に人は流れてしまいます。カレーしか出せないレストランは当然やってけません。

小さいお店はそのカレーをいかに美味しく提供するかで勝負するしかないわけですが、メーカーが作ってる料理を出すしかないのがゲーセンという商売の難しいところ。

風営法と言う昔の法律に縛られていることもあり、オリジナリティのある料理を出すのも難しいです。味で勝負出来ているゲーセンの代表格はミカドさんですが、ここは特別ですね。

味で勝負出来ないなら環境や設備を整えたいものですが、それにも体力が必要です。生き残るために、その店ならではの何かをアピールしたいのですが小さい店舗に出来る事は限られています。

 抜け出せない悪循環が閉店ラッシュの呼び水に?

店舗数が年々減っているのに、ゲームにかかる開発費は増えているため、その金額はダイレクトに基板や機械の価格に跳ね返ってきています。

格ゲーブームだった頃、餓狼伝説スペシャルやKOF94などは58000円や68000円だったと言うから驚きです。これが最新の鉄拳7になると基板だけで120万円、二桁違ってきます。プレイ料金が変わってないのに基板価格の高騰が止まらず、その負担は全て店舗がかぶらないといけません。

高いから数が売れない、数が売れないから高くなるの悪循環が、ゲーセン経営を圧迫しているのは間違いありません。

ゲーセン経営に見切りをつけて閉店を選択するにしても、閉店ラッシュで中古相場が下がっているタイミングでは、せっかく所有している機械を買い叩かれてしまいます。かと言って、閉店ラッシュが落ち着くまで待とうとすると、需要と供給のバランスが崩れた中古市場では結局機械が良い値段で売れなくなってしまう。

それなら早く閉店した方がマシ、と実際にそう考えているかどうかはわかりませんが、そうでも言わないと説明がつかないほどの閉店ラッシュが目の前で起きています。

この悪循環から抜け出す方法、誰か見つけて欲しいです、本当。

ゲームセンターはまだ必要!

ここまで書いたように、現状で小さいゲーセンを経営すると言うことは非常にたくさんのストレスにさらされます。これらの要因が重なり、将来の展望も見えなくなってしまった時、黒字であっても閉店を選択してしまうのかも知れません。

まだファンタジスタが閉店に追い込まれてないのは多くのプレイヤーや周囲の人たちに助けてもらっているからです。僕の恩返しは、ファンタジスタを続けていくことしかないな、と思ってます!

ゲームセンターは不特定多数の同じ趣味を持った人が集まる場所。これがなくなってしまったら、どんなに面白いゲームが出てきても味気ないものになってしまうと思います。

いつか法改正による逆転劇もあるかも知れませんからね!やめへんでー!

 

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コメント

  1. 梅ソーダ より:

    新規顧客に優しくないのが今のゲーセン

    ガンダムのゲームをやろうとしても、いつもいるキモオタが
    場所を占領していてやらせてくんないし
    コイン落としをやろうにも、高齢者がべったりで席なんて開いてない
    そもそも、コインの換金も高齢者を優遇してるし・・・

    格闘ゲームもアクションゲームも操作が複雑すぎて分かんないし

    もう行きたくないよ

  2. モロ助 より:

    ゲームセンターを経営しています。課金で有名なメーカーさんから課金引き落としが数日遅れてだけで…保証金を入れないとネットサービスが提供が出来ないと言われて大変困っています 。月の課金の支払い分の3カ月分を入れないと駄目と言われています。私の店は50坪ぐらいの小さな店でそのメーカーゲーム台は6割近く占めます… 店は閉店はしたく無いのですが…
    良い解決策は無いかと本当に悩んでいます。

    1. うちも引き落としが出来なかった時がありまして「次に落とせなかったら保証金を頂きます」と言われました。それ以降カレンダーに引き落とし予定と金額をメモして残高に気をつけるようにしています。
      保証金を求めてくるのはあのメーカーだけですよね・・・。引き落としが出来なかったのは1回だけでしょうか?うちは1回目はセーフだったのでそれだと厳しすぎますね。メーカー営業の担当者に保証金が払えなくて閉店しなくてはいけない、と正直に伝えるしかないように思います。

  3. モロ助 より:

    早急な返答頭が下がります。
    このメーカーさん…今年に入ってから色々とおかしい事ばかりしていて…課金の管理会社さんは大丈夫ですよと言ってはくれるのですが…このメーカーさん昨年ですが大阪の会社らしいですが数十店舗経営していて倒産してしまってかなりの額の損害額出たらしくそれから厳しくなっているらしいですが
    まさかメールの返信が来ると思ってもいませんでした。
    相談したり、話をするような店舗さんは殆ど閉店してしまって
    返信メールは励みになりました有難う御座いました!

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